業界雑感


今回フランスのアングレーム国際漫画祭において、多数日本の漫画がノミネートされ、一部ではニュースになっています。


「仏アングレーム 日本作品も候補に「劇画漂流」「聖おにいさん」など」
http://animeanime.jp/news/archives/2011/12/post_1769.html
「砂の剣」最高賞候補 仏国際漫画祭
http://www.okinawatimes.co.jp/article/2011-12-08_27054/?utm_source=twitterfeed&utm_medium=twitter


もちろん、直前の記事のとおり、フランスに渡ってBD作家として活動している僕の元相方・オオシマヒロユキも、この賞にノミネートされた一人なのですが、
http://www.bdangouleme.com/bd/Crime%20School%20T1%20:%20La%20Rentr%C3%A9e%20des%20crasses/388/33
身内びいきがあるとはいえ、日本作品のみがリストアップされ報道される姿勢に少々疑問が。




もう何年も前の話ですが、小○館の編集に漫画の海外展開については何をしているんですか? と尋ねた時に、返って来た答えが


「欧米渉外部署に担当が一人いて、向こうの出版社から翻訳させてくれないかという問い合わせがあった時だけ対応している」


と。
特にフランスで漫画が大ブームになっていると日本では報道されていた頃です。クールジャパン、なんつって。
それなのに、担当者が一人!? 待ってるだけ!?
漫画がこんなに海外で受けてるのに、積極的に売りに行かないんだな、小○館は。と、驚きました。
しかしそれ以外の出版社でも、作品も作家も、国内で育て、売り、まあ海外での売上はオマケみたいなもんかな、と思っているフシがあるように感じます。
元相方のBDも、話題にしたところで国内で売れるコンテンツでもない。
日本の業界に関係ないなら、別にいいかという姿勢がこの報道に見えるのじゃないかと。(少々うがった見方かもしれませんが。)


日本の漫画市場は縮小しているのに、せっかくの拡大のチャンスを棒に振っているとしか、私には見えないですが、どうなんでしょうか。
この状況は、誰が、どのように変えるべきなんでしょうか。
オオシマヒロユキの活躍が大々的に知られれば、少なくとも作家は、向こうに渡って仕事をしてみたい! と考える人が出るんじゃないでしょうか。




最後にそういった旨オオシマに伝えたところ、返って来た返事です。現地フランスからの今現在の声です。


「せっかく世界中で人気が爆発してた漫画界で日本の出版社は何をしたかしってるかい? 外国のバイヤーが自社を訪れるのを指をくわえて待ってただけさ。そして漫画家には「9:1で出版社のもうけでいいですよね?」と。いっとくけどそんなの続けたせいで本気で下火だぞ、日本漫画。」


9:1は言い過ぎにしても、近いですよ、海外で出版された翻訳コミックスの、出版社の取り分。