限りなく
嘔吐し続ける話。……と書いたら急に下世話な話になってしまいますが。
『限りなく透明に近いブルー (講談社文庫)』村上龍
解説に同じような文言が書かれているが、【カウンター私小説】なのではないかと思った。「私(リュウ)」を描きながら、異常に「私(し)」と関係説明を排除した、限りなく透明に近い、渇いた世界観。セックスとドラッグとバイオレンスに、まったく湿り気が無い。そこに描かれているセックスとドラッグとバイオレンスにリアルを感じてはいけない。憧れを持って目指してはいけない。その辺を間違ったままで好きでたまらないファンが多そう*1。
ヒッピー文化に溺れ、恢復(?)するリュウの見た「鳥」とは、かもめのジョナサンだったのではないかと邪推したりして。
★★★☆☆
*1:……と言ったら色んなとこで怒られそうだな。もう書いてしまったが。