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黄色い蜃気楼 (双葉文庫)船戸与一
黄色い蜃気楼 (双葉文庫)
船戸与一ブーム再来。仕事の合間にいくつか読みかけてます。そんな読み方は邪道なんでしょうけど。だって『蝦夷地別件』の下巻が見つからないんだもの。
主人公(及びライバル)はドロップアウターではあるが、昔から彼が描いてきたソレに比べれば、妙にウェット。ドロップアウトする者の背負う哀しみが純・日本人的で、ちょっと食い足りなかった感じ。
キャッチフレーズで紹介出来るようなキャラ立ても施されていて、もしかしたら珍しく「解り易い」小説を書こうとしたのかもしれないな。
実際、展開とオチはだいぶ早い段階で読めた。(逆に、フツー何かあるだろコイツは! と思ったキャラに何もなかった。残念。)
読めたけど、複数のチーム(視線)が交錯したりすれ違ったりしながら、一つの場面に集約される構成は、素直に興奮するなぁ。上手い。


船戸与一・入門編として良いかもしれないが、これで船戸与一を語られても困るかなー。


★★☆☆☆
(与一ファン向け。与一未読者には+1してください。)