読み終わ

った。全4巻。


国盗り物語(四) (新潮文庫)司馬遼太郎


全巻を通して読むと、最後まで道三が主人公だったように思う。当然、3巻で道三はフェードアウトするわけだが、彼の遺した次世代の寵児、信長と光秀の物語として「信長編」があるわけだ。事実、あとがきにも司馬先生は「斉藤道三をのみ書こうと思い(しかし次の世代の信長まで伸びた)」と書いている。
道三が主人公であるから、道三編(1、2巻)のほうが「楽しみ」という意味では傑作。キャラ強いし。ただ、「信長編」が蛇足かと言うとそうではない。道三が主人公でありながら、道三は戦国期という「時代」そのものだった。それが信長にも継がれている。いわば「道三」に仮託した「時代」そのものがこの物語の主人公であると考えれば、戦国の乱世が秀吉の天下統一に終着した「時代」の物語として、「道三編」「信長編」二つで、美しく完成している。
何だろう、この傑作ぶり。


★★★★★
(全4巻まとめて)